サーバ/インフラを支える技術

読了。いや読むの自体は残暑で眠れない夜にさらっといけたんだけどいろいろあってまとめるのが遅れた感じ。

まずこれ自分で手を動かしながらじゃないと意味ない本。特に冗長化とか reverse proxy とかを試すためには環境作るためにちょっとした投資をしないといけないので仕事で使うというひとでない限りちょっとキツイかなぁという印象。

ただまぁ keyword がいっぱい出てきている上に平易な文章で書かれているので読む際の cost が低いというか。 keyword に対して google の精を飛ばすもよし、 "high availability" や "scalability" という言葉だけ覚えておいて必要になりそうになったらこの本を参照して再学習するもよしで導入にはいいのかもしれない。

てかここらへんの問題を取り扱った本て他に見たことないような…。あるはずだとは思うんだけどこれだけ sensational に売れた本はそんなにないのでそういう意味でも大きな一冊 ?

でまぁ確かに文章は全体的に読みやすいんだけど手放しでほめられるものでもないというかけっこう typo が多い上に 6 名の方による共著なので書くひとによって style が異なるというのが通読するときには難点になり得るかなぁというところ。

いや実践書だしちゃんと目次ついてるからそんなに障害にはならないはずだけど章ごとに粒度が異なるという点と節毎に対象が異なるという点があって書かれ方を知らないと、つまり読み方を知らないと読みにくいなという印象。まぁ目次だけつらつら眺めて必要なところをつまみ読みしろということなのかもしれないけど。

あとやっぱり気になった点は著者ごとに対象への訴求度合いについて幅があるということかなぁ。具体的には伊藤直哉氏が書いた Linux host の負荷計測と対策についての 4.1 節が引用元から理論展開から主張までかなりの level でまとまっていたのがとても印象的で他は全体的に follow up が足りない感じ。

いやまぁそれぞれで本一冊書ける内容を節にしてるわけなので無理が出てくるのは仕方ないし、実際を説明するという趣旨の本なので理論が書かれていないのはむしろ目的通りなのかもしれないけど。

あーでもこの本 2 年前に発行されたものなのに今でも使われてる software にあまり変化がないな…。いやおれが知らないだけか。ただまぁ大筋というかここに出てくる keyword について調べていくと今の trend もわかるはずなのでその点で全然有効性を失っていないというか。あと 7 年は無理かもしれないけどあと 3 年ならいけそうな気がする。

最後に、田中慎司氏がはてなの中身紹介の節で「自律的なインフラ」と書いていてあーまぁ最終的にはそこへ行くよなぁとか思ったんだけどちょうど読んでるのと前後して http://news.cnet.com/8301-19413_3-20014354-240.html という記事があって笑った。やっぱそこかよと。

総評としてはここらへんの領域への導入書としていいんではないかと。それぞれの分野の縮図という意味で小学生理科の ecosystem の一枚絵みたいな位置づけ -> http://www.city.ibaraki.osaka.jp/kikou/kankyo/kankyo_kankyosetsumei/kankyo_seitaikei.html