THE SUPER ANCHOR

英和辞典のハナシ。製品名としては「スーパー・アンカー英和辞典」かな。ひょんなことから存在を知って調べてみたらいわゆるジーニアス世代のおれからしてみたら信じられないくらいわかりやすいので勢い余って買ってしまった。まぁさいきん英語書いてるしいいかと思ったんだけど買ってから明らかに www.alc.co.jp への request が減って驚いている、というか和英的な使い方しかしなくなった感じで。おれと同じ世代のひとで高校英語赤点でした ( 主に俺 ) ってひとは今からでも買って勉強するとこれからの人生楽になると思うのでオススメ。

上位版の ANCHOR COSMICA ( http://www.gakken.jp/jiten/data/detail/1230115900/index.html ) てのもあるみたいなんだけどそもそも基礎が出来ていないので学生用の辞典を選んだという経緯。別に native を狙った凝った文章書くわけじゃないのでこれでもいいだろうという打算も入っている。

で、どのくらいすごいかを手元の GENIUS ( http://www.taishukan.co.jp/item/g4/index.html つっても第 2 版なので全然対等じゃない ) と比較してみた。というのも GENIUS はすばらしいという評判でうちの学校の指定辞典 ( ? ) になってたんだけどおれ的にどこがすばらしいのかわからなかったというか読みにくいし ( 辞典はつど参照するものという意識が少なくとも俺の英語教師にはあった気がしたので読むという意識だったおれはそもそも時代的に間違ってた ) 語の意味がわかりにくいし ( 例文が無駄に難しいので読めなくて nuance がわからない ) 重いし ( 関係ないんだけど持ち運ぶ重量じゃないと思う ) で心証最悪だったので GENIUS がどれだけダメだったかを暴こうというアレな意図で。というかまぁ今現在辞典の作り方の過渡期まっただ中だとか ( 多分 ) 印刷技術の発展が云々で多色刷りの cost が下がって注視すべき場所や例文が圧倒的にわかりやすくなったというようなことが大きいんだろうけども。

以下具体的な比較点。まず両方にあるものから。

  • 語の重要さ
    • SUPER ANCHOR が見出しの色と * の数、 GENIUS が * や ‡ ( U+2021 DOUBLE DAGGER ) や † ( U+2020 DAGGER ) の有無。実際見ると色使ってる方が圧倒的に見つけやすい。
  • 動詞の変形 ( 三単現、過去形、過去分詞系 ) が見出し語の脇に載っている
    • これはまぁ普通に。
  • 形容詞の比較級への変形
    • GENIUS が語の説明のところに載っているのに対してSUPER ANCHOR が見出し語の脇なのでわかりやすい。
  • 差別的な表現、古語、ちょっと古い言い方
    • GENIUS 頑張ってたことに今さら気付いた。
  • 名詞の countable と uncountable
    • どちらも icon で表示。
  • 動詞の動静
    • stative か dynamic かが icon でわかるのが GENIUS 、 SUPER ANCHOR は進行形にできない動詞に注意書きがしてある。
  • 米音と英音
    • 一応載ってるんだけど SUPER ANCHOR が発音記号が IPA 準拠 (?) なのに対して GENIUS のは一部 local rule を適用してるフシがある。
  • 語源
    • GENIUS は 1 行、 SUPER ANCHOR は 3 〜 5 行割いて複数の意味へどういう風に派生したのか書いてある。
  • 例文
    • GENIUS の場合その語以外に注意すべき語が使われてる場合が多くてひとつの例文を読むための cost が高い。 SUPER ANCHOR は語の説明のためにある例文 ( その後の周辺や注記があるところに気をつければなんとかなる ) という感じ ?

以下は ANCHOR のみ。

  • 同じ単語でも品詞ごとに違う見出しで載っている。
  • 重要な意味の色が変わっている。
  • formal な表現か informal な表現かが icon で表示されている。
  • 省略できる発音が italic で載っている。
  • collocation が載っている ( 同時に使われる助詞がわかりやすく併記してある ) 。
  • 日本と英語圏のその語に対する印象の違いを説明する column や付録が載っている。
  • 日本人が英語を書く ( 日本語を英訳する ) 際に陥りやすい落とし穴が書かれている。

というわけで今の GENIUS 第 4 版と SUPER ANCHOR 第 4 版どっちがいいかは知らないけど昔 GENIUS 使ってましたもしくは使わされてましたというひとで英語勉強する気があるなら買っていいと思う。多分驚くと同時に今の学生は恵まれてるのぅと思うはず。まぁ俺より上の人に言わせると GENIUS も十分恵まれてたらしいけど。

最後に感想。普通にこの辞書「読めちゃう」んだけど ( 「参照する」じゃなくて ) 語の説明を読み進めてると編集したひとはかなり論理的なひとなんだろうなぁと思ってしまう。というのも多分語学系の研究を専門にされてるひとが編集してるんだろうけどこの辞書は一つ一つ固めていく感じの論理性で書かれてるんだよね。論理学の、といっていいかもしれないけどどちらかというと手続き型言語で一から積み上げる感覚。学習者に対して declaration ( 語の spelling や変形 ) -> definition ( 語や背後にある文化の説明 ) -> run ( 例文の提示 ) をするような。で、おれという machine においては bug が少ない、というか error がないというのはすごいと思うんだけど。あー reference を参照するんじゃなくて recipe book を読むような感覚、アレだ。まぁ辞典というのは総じてこういう側面があるのかもしれないけど今までこういう感覚なかったのでそれは多分この辞典がそれだけわかりやすいということなんだろうと思う。